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2007年09月03日:生活の一片
【 拝啓 SELVA様 】
衣替えは まだ先のことだけれど、暦の上では もう すっかり秋。
ニュースでも‘猛暑日’という言葉が使われなくなって、過ごし
やすくなった。 そして、ブライダルシーン 突入である。
この秋からブライダルのお仕事も担当することになった。
現在は修行中の身である。机上で学ぶことも大切だけれど、
やっぱりナマの披露宴を見学して勉強しなければ、現場には
出られない。
これまで、何人かの友人や先輩・後輩の披露宴に出席してきたけれど
まさか自分が それに関する仕事に携わるとは思っていなかったし
私自身 未婚で、披露宴そのものについてなんて、全っ然 考えたことも
なかった。 だから、全く何も知らないゼロからの出発。
そして、これは8月31日の お話。
9月1日と2日、さっそく披露宴を見学することになったので
念のため 前日のうちに、当日の流れ等について訊いてみようと
先輩に電話をしたら、そこから既に驚きの連続。
「進行表と席次表をFAXしたよね? 見た? あれ、全部 暗記ね。」
・・・はい??? 暗記、ですか???
披露宴の進行については、全て、『進行表』に記されている。
例えば、『11:45迎賓、12:00新郎新婦入場、12:20乾杯・祝宴開始』。
また、そこには 誰が祝辞を言うのか、乾杯の音頭は誰が取るのか等の
細かい書き込みも。席次表には、出席者の肩書や名前が びっしり。
それを全て暗記、しかも明日まで、というのは、私には絶対に無理だ。
おずおずと それを伝えると、
「やっぱり最近の若い人には、無理なのかしらね。私がブライダルを
担当し始めた20年前は・・・」
と、しばし昔話が始まる。そして、結論が
「だったら仕方ないわ。進行表と席次表を持ったまま見学しても
かまわない。 ただし、きちんとしたバインダーに挟んでね。」
・・・きちんとしたバインダーと、おっしゃいますと???
「ほら、(ブライダル)プランナーが持ってるやつよ。 いい? あなたが
暗記が無理だって言うから、私が譲歩するのよ。しっかり準備してね。」
何となくチクリとした言い方に むっとしたが、別にカンケーない。
ただし、何せ、結婚したことがないので、ブライダルプランナーの方が
持つバインダーというモノが判らない。でも、お店に行って現物を見れば
判るだろう。
・・・・・そんな甘い期待を勝手に抱いて、とりあえずSELVAへ。
SELVAには‘文房具屋さん’は無いけれど、おしゃれな文房具を扱う
お店は、たくさん入っている。 だから、きっと大丈夫。
しかーし!
2階から5階まで、さんざん歩き回ったが、目指すモノは見当たらない。
これだ!と思って手に取っても、よく見たらアルバムだったりして。
しかも、そういうお店では、なぜかやたらアルバムが多く取り扱われていて、
アルバムばかりが数種類 ずらっと並んでいたり。
学生向けのかわいい文房具や、シンプルすぎるくらいシンプルなものは
あるのに、披露宴というフォーマルな場で持ち歩いてもおかしくないような
いわゆる、きちんとした大人が持てるスタイリッシュな高級志向の文房具は、
SELVAには ないのか。
仕方なく、隣のIYに行っても、コレ!というものが見当たらず、
途方に暮れた私は、SELVAに戻り、センターコートに腰かけて
同期の友人に電話をかけた。 事情を話し、「どうしよう・・・」と
うつむくと鼻の奥がツンとする。もう外は暗くなっている。
今から地下鉄に乗って買いに行くにしても、そろそろお店は閉まる時間だ。
新しい仕事に取り組む不安や、ちょっと怖い先輩のこと等が頭を廻り、
戦う前から何かに負けてしまったような気分で携帯電話を握りしめる。
すると彼女は、
「今はSELVAにいるのね?私は今、仙台駅前にいるから、バインダー
探して買っていくよ。 そこで待ってて。 ちょうど良かった、私も
そろそろバインダー買わなきゃって思っていたから。」
30分後。
仕事帰りで疲れているはずの友人は、颯爽と現れた。
格好いい、黒の、大人な雰囲気のバインダーを持って。
「あの先輩、私も怖いなって思ってた。明日1日じゅう一緒なのに、
しかも、次の日も見学なのに、たかだかバインダーが無いぐらいのせいで
いびられたとしたら、たまったもんじゃないよね。(笑)」
サバサバと話す長身の彼女は、最高に格好いい。
同期とは言え、仲良くなったのは ほんの1ヶ月前なのに、こんなふうに
してくれる、頼りになる友人を私は うんと大事にしなきゃいけない。
同じ駅が最寄りの私たちは、地下鉄の駅で、ありがとう と 頑張ってね を
交換して、別れた。 駅の外に出ると、どしゃ降りの雨もやんでいた。

おかげさまで 黒の格好いいバインダーと、ミキモトの真珠入り
ボールペンを手にした、格好いい黒のスーツの私(?)は、初めての披露宴
見学も無事にこなした。(‘見学’とは言っても ちょっとは働くのです)
あの 怖い先輩にも、「今日1日、邪魔には ならなかったわね」との
お褒めの言葉(!)を頂戴した。
9月1日だけでなく9月2日も、新郎新婦の涙と笑顔で披露宴の結びを迎えて、
家路に就いた。とても疲れたけれど、幸せな気分の残る週末だった。
今回のことで、人のあたたかさっていうヤツを身にしみて感じたけれど
なんか、釈然としないような気も。
だって、泉中央では、格好いいオトナの使える文房具が簡単には
手に入らないっていうことを痛感したから。
せっかく緑も多くて、やさしくて格好いい人たちが住む文教の街と
言われる泉区なんだから、もうちょっとSELVAやIYも 頑張って
くれても良いんじゃないだろうか。
拝啓 SELVA様。
大人が持ち歩けるスタイリッシュな文房具を、置いてください。
***************************************************
先輩が「暗記」にこだわる理由は、披露宴当日は “本番”
だから、なのです。
ブライダルの仕事をする者にとっては毎日の仕事の1つ
であったとしても、新郎新婦や その家族にとっては、
かけがえのない 人生のうちの たった1日、なのです。
筋書きの無いドラマの本番を演じる新郎新婦を支える
という役割を果たすべきスタッフ達が、筋書きの載った
紙きれを見ていては いけない、というのが先輩の考え
なのです。
確かに、数十年前は、誰もが進行表を全て頭に叩き込み
披露宴に臨んでいたとの事ですが、現在は多様化した
オリジナルウェディングが主流である事と、関係者が
1日に数組の披露宴を担当するようなことも増え、
プランナーでさえも 進行表を手に披露宴に臨むことが
多くなったといいます。
でも もし、あなたの披露宴で、式場関係者が進行表を
見ながら働いていたとしても、「手抜きだ」なんて
怒らないで頂きたいのです。
スタッフ一同が、その大切な日を大成功に収めたいと
全身全霊をかけて取り組んでいるのですから。
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