≪【 30歳の千歳飴 】 | 【 ひととき 】 | 【 橙色のカーテン 】≫
2006年11月07日:よるみちセルバ
【 ひととき 】

無料で手に入る雑誌が、今は ずいぶん ある。
俗に言うフリーペーパーというもので、賃貸情報誌や
就職情報誌、クーポンが付いたものなど、私たちの
生活にとって 当たり前の存在になりつつある。
SELVAで見つけたフリーペーパー。
『ひととき』創刊号、2号、3号、最終号。
宮城大学学生サークル「ART STANDARD.」が
企画・製作したものだという。
日常のほんの一瞬のすてきなひとときを見つけてしまいました
という ことばが、ほんとうに印象的で胸を打つ。
写真の1枚1枚や、ひとこと ひとこと が、やわらかく
静かに ずん、と来る。
泉の良いところや、見えなかった素敵さかげんが、
すぐ近くまでやって来ている感じ。
フリーペーパー、ということは無料。
企業が発行し、広告料で利益を得るものとは違い、おそらく
この『ひととき』は利益を追求したものではないのだろうと
思われる。 否、利益は追求しているのかもしれない。
その利益、の形が金銭ではなく、もっと別な何かの形を
しているのでは ないだろうか。
私の大学時代は、恋 中心だった。
寝ても覚めても、恋。 さながら蝶の鱗粉のように、花から花へ
舞い移る先に恋を落としていった。
若さゆえの傲慢な悪戯心で、傷つける必要のない相手まで
傷つけた。 そこには ひとかけらの悪意さえもないのが、
余計に始末が悪かった。
もちろん、学問もしたけれど、今になってみると、あのときに
恋していた分の時間の半分でも、もっと別なことに使っていれば
良かったのにと思う。
学問と恋、だけではない、別なことに。
自分がその瞬間を生きたという、確かな証を、形に残せていたなら、
と、すこし残念に思ったりもする。
学生時代は、社会に出る前のモラトリアムだといわれる。
そのときに、自分自身と、自分以外の何かをきちんと見つめて
おくと、ほんとうの意味での大人になったときに、きっと、素敵に
足跡が残せているだろう。
何かに躓いて振り返ったときに、その足跡は、そのときの自分の
自信や道標になる。
『ひととき』を見て、あぁ、日本の学生も捨てたもんじゃない、と
嬉しくなった。
はっきりと目に見える形じゃないものを、きちんと見つけて、
見つめている。 そして、それを、誰が見ても解る形に、残せている。
彼らが10年後に振り返ったとき、きっとこれは彼らの足跡として、
確かに、存在しているだろう。
もっと色んな人に見て欲しいと思う。
泉の人って素敵だな、とか、学生も頑張っているんだな、とか、
こんな景色があるんだ、とか、何か感じてもらえると思う。
****************
■モラトリアムとは■
人間が成長して、なお社会的義務の
遂行を猶予される期間。 また、その
猶予にとどまろうとする心理状態。
エリクソン(米国の精神分析学者)が
提唱。
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