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2006年11月06日:季節

【 30歳の千歳飴 】

chitoseame.jpg


千歳飴を食べたことが、無い。
私の記憶に残っている七五三は、たぶん3歳のとき。
“いかにも七五三用”の真っ赤な着物を来て、どこかの
神社に、両親と母方の祖父母と、叔母(父の妹)と参詣に
行った。 鳩がたくさんいて、そこに数歩 近づくと、
大きな羽音をたてて鳩が飛び立った。

7歳のときは、七五三の着物を着なかった。
その頃 神社に行ったという記憶も、ない。
5歳下の妹が入院することが多かったので、それどころ
では なかったのだと推測される。

千歳飴は、幾度か手にすることがあったのだが、母に
「虫歯になる」と取り上げられ、食べたことがない。
私は一人目の子ということもあって、両親は だいぶ
神経質に育てたように思う。
たとえば、乳幼児のころ、大きな音を聞いてばかりいると
耳が悪くなる、あるいは 敏感な聴覚をもてない、という
話をどこからか聞きつけた母は、私が乳児のころは、
掃除機をかけなかったそうだ。 お茶殻をまいて掃き、
固く絞った雑巾で何度も拭いたと言う。 そのお陰なのか
どうかわからないけれども、確かに私は、一度 聞けば
楽譜がなくても その曲をピアノなどで再現できる。
外国人の先生に幼い頃 習った英語は、文法は ともかく
発音はネイティヴのそれに遜色ないと、大人になってから
カナダ人とアメリカ人に褒められたことがある。まぁ、
お世辞半分だろうが。

閑話休題。
とにかく、そんな状態だったので、母は食品添加物や
塩分・糖分の摂取にうるさく、縁起物だというのに、千歳飴すら
食べずに私は育った。

連休2日目。
やっと会えた恋人と夕食の材料を買いに行ったショッピング
センターで、私はレジ脇の千歳飴を凝視する。
「ねぇ、千歳飴って、どんな味か知っている?」
恋人に訊くと、「知らない、食べたことないから」と素っ気ない。

連休3日目。
夕食の材料を買いに行った昨日とは別のショッピングセンターで
再び見つけた千歳飴を手に、原材料などを見ながら味を想像する
私を見て、恋人が買い物かごに千歳飴を入れてくれる。

「あんなに食べたがっていた千歳飴、食べてみたら?」
帰宅してから、彼は、面白そうに私に言う。いつもなら、食事前に
お菓子を食べたがる私を戒めているくせに。

30歳にして初めて食べた千歳飴は、思っていたよりずっと
素朴な甘さ。 外国の砂糖で作ったキャンディというよりは、
和三盆などの、日本の砂糖や米でつくられた飴、という感じ。

外袋には“三本入り”と記載されていたのに、開けてみたら
折れて6本になっていた。 七五三、7+5+3=15。
倍の数、30歳になっている私のために、千歳飴も倍の本数に
なっていたのかもしれない。
11月5日は、私の、千歳飴記念日。 
遅ればせながら、もういちど、七五三。


chitoseame_in_glass.jpg

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