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2007年07月18日:生活の一片
【 美しい日本語を話せるように -八文字屋-】

子どもの頃、とても はきはきと話す私を見て、母は「将来は
NHKのアナウンサーに。」と思っていた。
若い頃、母はNHKで勤務していた。
「会社は渋谷にあったんだけどね」と、当時を振り返りながら
話す母は とても楽しそうで、社員食堂は格安で俳優は滅多に
来なかったけれど あの人とこの人は来ていたわね、等と得意げに
言うときの顔は、すこしミーハーな若いOLの表情をのぞかせる。
母は、加賀美幸子アナウンサー(当時)の話し方が、日本女性としては
理想なのだと よく言っていた。
母は、今でこそ仙台弁を話すようになったが、私が大学を卒業する
あたりまでは、共通語しか話さなかった。
それが、私をアナウンサーにしたいという野望からくるものなのか
ただ単に仙台弁を話すことに抵抗があったのか、それとも、
仙台弁が解らなかったせいなのか、理由は定かではない。
我が家では、堅物の父の影響で、テレビのチャンネルは、いつも
NHKに合わせてあった。
父は、母のような野望こそ持っていなかったけれど、流行語を
使った話し方には大反対で、二言目には「NHKのアナウンサーは
そんな話し方をするか?正しく話しなさい。」と言ったものだ。
小学校から ずっと 朗読が得意で、いつも褒められていたけれど、
身の丈を知っている私は、アナウンサーになれるような容貌も
資質も持ち合わせていないことに気づいて、アナウンサーを
目指さなかった。
しかし、証券会社勤務時代 休日に流す留守電のアナウンスの
録音を担当したり、転職後に司会や放送を担当したりする機会が
幾度かあって、「こうして声の仕事をする機会があるのなら」と
考えるようになった。
そして、現在 週2回、仕事の後にマンツーマンで、MCの
レッスンを受けている。
レッスンをしてくれるのは、プロフェッショナルを引退した人で
発声・滑舌の練習、マイクを通した声の調整などを、丁寧に教えて
頂いている。
初めてのレッスンの日、アナウンサー読本をひととおり読ませられた。
腕を組んで、黙って聞いていた先生は、ひと言 「出身は、どこなの?」と
訊いた。イントネーション、アクセント、滑舌、プロミネンスの捉え方、
鼻濁音、母音無声化が完璧に近いのだと、目を丸くして、言う。
あとは、しっかり発声練習をして、より大きな声が出せるようになれば、
そして、視聴者の鑑賞に堪えうる体型になるまでダイエットをすれば、
秋の番組改編時のオーディションを受け、『電波に声をのせる人』を
目指すことも可能だろう、と。
30歳を過ぎて、褒められることなんてなくなった今日この頃。
でも、今回、こうして褒められまくったのは、両親が整えてくれた
環境のお陰だ。
私は、大変なことも多いけれど今の仕事が楽しいし、ダイエットを
成功させるだけの強い意志もないし、人前に出るのも得意では ない。
だから、『電波に声をのせる人』を、目指すつもりは毛頭 ない。
ただ、せっかくこの国に生まれたのだから、より美しい日本語を
話せるように、訓練は続けてゆきたいと思う。
せっかくレッスンをつけてくださっている先生には申し訳ないが
もうしばらく、いろいろ教えて頂きたいと考えている。
今回、決意を新たにするために、アクセント辞典を買った。
NHKから出版されているものと、三省堂から出版されているものの
二種類が有名らしい。NHK信仰の厚い両親の娘ではあるが、いや、
だからこそ、敢えて三省堂をチョイス。
レッスンと仕事との生活で忙しく、そう何度も書店に足を運べないので
今回は、八文字屋に電話をして在庫があるかを確認し、残念ながら
在庫が無かったので そのまま取り寄せをお願いした。
入荷の連絡がくるまで、わずか2日だった。
手にしたアクセント辞典は、ずしりと重い。
この中に、たくさんの日本語の音が、文字や記号になって詰まっている。
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《 八文字屋 》5階
新明解 日本語アクセント辞典 3780円
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